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相続財産管理人に支払う予納金とは?目安は?払えない場合の対処法

hdxsk630@yahoo.co.jp

相続財産を管理する責任を負うのは、通常であれば「相続人」です。

遺産に不動産などがあれば、放置するわけにはいきません。また資産だけでなく、借金を残して亡くなるケースもあるでしょう。

では、相続人がいない場合にはどうなるのでしょう?

今回の記事では、相続人がいない場合に財産を管理する「相続財産管理人」の仕組みと、選任に伴って発生する「予納金」について詳しく解説していきます!

予納金とは?

遺産分割をするためには管理人を選んだり、予納金を納めたりしなければならないと聞きました。本当でしょうか?

それは少し違いますね。相続財産管理人が必要になるのは「相続人がいないケース」に限られます。

相続財産管理人が必要な場合に、選定に際して納める必要のあるお金が「予納金」です。

相続財産の管理費用に充てられる

予納金

予納金は相続財産を管理・処分するために必要な費用に充てられるお金です。

通常であれば相続人が相続財産を管理する義務を負いますが、相続人になる立場の人がいないケースもあり得るでしょう。

そのような場合には裁判所が「相続財産管理人」を選任して、財産の管理や処分を行います。そこで必要になる費用を賄うために支払うお金が予納金です。

相続財産の管理や処分を行うためには、さまざまな費用が必要となります。

相続財産管理人に対する報酬も含め、そこで発生する費用は相続財産から拠出するのが原則です。

しかし、相続財産だけでは費用が不足しそうなケースもあるでしょう。その場合に予納金が必要となるのです。

このため十分な相続財産があり、管理費用が不足する恐れがないのであれば予納金は不要とされています。

予納金の目安はある?

いくらくらい必要なのか、目安が知りたい!

こう考える人も多いでしょう。しかし残念ながら、予納金の目安を示すことは難しいと言わざるを得ません。

先ほど述べたように、予納金は相続財産の管理・処分に必要なお金のうち、相続財産で不足しそうな金額を支払っておく制度だからです。

このため相続財産が多いか少ないかによっても異なりますし、財産の内訳や利害関係者の状況によって処分に必要な金額も変わるからです。

全く必要ない場合もあれば、数十万円程度が必要なケースもあり得ます。

予納金は誰が負担する?

予納金を負担するのは、相続財産管理人の選任を申し立てた人です。

特別縁故者として遺産分割を希望した人や、被相続人が負っていた債務を相続財産から回収したいと考えた債権者などが想定されます。

相続財産管理人とは?

そもそも相続財産管理人とは何なのでしょう?

少し専門的な話になりますが、相続人がいない場合や分からない場合、相続財産自体に法人格を与えることになっており、これを相続財産法人と呼びます。

とはいえ相続財産法人は、そのままでは法人自体がみずから管理などの行為ができるわけではありません。

そこで財産の管理や処分を、代理人となって行うのが相続財産管理人です。

相続財産管理人が必要になる理由

そもそも相続人がいない場合や全員が相続放棄をした場合などは、相続財産は国庫に帰属するとされています。

「受け取る人がいない場合には、国のものになりますよ」という仕組みです。

しかし、相続財産は必ずしもプラスの資産だけとは限りません。被相続人に負債があり「遺産の中から返してほしい」と考える人もいるかもしれません。

このようなケースでは、利害関係のない立場で財産を適切に管理する人が必要になるのです。

相続財産管理人が必要になるケース

相続財産管理人が必要になるケースは、相続人がいない、もしくは全員が相続放棄をしたときです。

ただし被相続人に処分や清算が必要な財産がなければ、相続財産管理人を選任する必要はありません。

相続財産の管理・処分が必要であるにも関わらず、それをする人がいないとき」と考えるのが分かりやすいでしょう。

ケース事例

具体的には、特別縁故者が相続を希望するときや、被相続人が負っていた債務を債権者が回収したいときなどが挙げられます。

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相続財産管理人を選任する手順

相続財産管理人を選任するためには、裁判所に対して相続財産管理人選任の審判を求める申立てをします。

申立先は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

ただし、被相続人や被相続人の両親の出生時から死亡時までの戸籍謄本を集める必要があるなど、手続きは簡単とはいえません。

弁護士などの専門家に依頼することをおすすめします。

予納金が払えない場合はどうなる?

数十万円もの費用が発生するとなると、払えない場合も出てくるのではないでしょうか?

確かに目安も分かりにくく、払えない可能性も十分に考えられます。そのような場合の対策や注意点も押さえておきましょう。

予納金の支払いは選任の申し立て後

予納金を支払うタイミングは「申し立てから1ヶ月以内」と定められています。

期間内に払わなければ相続財産管理人が選任されません。

手続きを進めるために必要なお金のうち、相続財産だけでは不足する金額を予納金として納める仕組みですから、予納金がなければ相続財産の管理・処分が滞ってしまう可能性があるからです。

支払いが難しければ「法テラス」の検討を

予納金は数十万円と高額になるケースも少なくありませんから、場合によっては用意できない可能性があるかもしれません。

そのような時には日本司法支援センター「法テラス」の利用を検討するのが良いでしょう。

法テラス

法テラスは国によって設立された法律相談窓口で、経済的に余裕のない場合に無料の法律相談や費用の立替えなどを行ってくれます。

ただし、費用の立替えを利用するには収入要件などの条件や審査がありますので、その点は注意が必要です。

相続財産管理人を選任しない方法はある?

相続人がいない場合には、必ず相続財産管理人を選任しなければならないのでしょうか?

財産を譲る人を特定しておくなど、適切に管理できる状態であれば選任する必要はありません。

相続人以外に財産を譲りたい人がいるのであれば、生前に遺言などの手続きをしておくことをおすすめします。

遺言による「遺贈」を活用する

相続人がいないことが分かっているのであれば、遺言書を作成して財産の処分についての考えを示しておくと良いでしょう。

例えば生前に親身になって身の回りの世話をしてくれた人がいたとしても、相続人でなければ財産を手にすることは容易ではありません。

特別縁故者の立場で相続財産管理人の選任を申立て、さまざまな手続きを踏まなければならないのです。

しかし、遺言による「遺贈」を活用すれば、相続人でなくともスムースに財産を譲ることができます。

養子縁組をする

特定の人に財産を譲りたいと考えるのであれば、養子縁組をして法律上の親子関係になるのも一つの方法です。

養子縁組をすれば、法律上は実子と同様に扱われます。法定相続分や遺留分なども含め、すべて実子と同じ権利を持てるのです。

相続人として相続財産を管理する立場になりますから、もちろん相続財産管理人を選任する必要はありません。

相続財産管理人が必要なら予納金への理解を深めよう

相続財産管理人が必要となる可能性があるのであれば、制度の仕組みや予納金についての理解を深めておくことが不可欠です。

しかし実際には、相続財産管理人を選任して財産を管理する手続きには多くの労力が必要になるとともに、処分までには長い時間が掛かります。

先に挙げた遺言書などの対応策が取れるのであれば、何らかの手段を講じておく方が望ましいといえるでしょう。

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山崎友也
山崎友也
代表取締役
株式会社トライパートナーズ 代表取締役
2011年から税理士紹介サービスを展開。多くの皆様に税理士を紹介してきました。
相続は何度も起こるものではありません。だからこそ正しい知識がないと、トラブルになる可能性を秘めています。大切なことは、徹底的に寄り添える相続専門の税理士に依頼すること。「頼んでよかった」と心から喜んでいただくことが私の生きがいです。まずはお話を聞かせてください。
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