不動産

既経過利息とは?相続税評価の計算手順をくわしく解説します!

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長らく低金利が続く昨今とはいえ、預貯金をしていれば多少なりとも利息が生じます。

この預金の利息が、実は相続財産に該当することをご存知でしょうか?

このことを知らなければ、相続税の申告の際に誤りが生じるリスクが発生してしまいます!

そこで今回の記事では、相続開始時に発生している「既経過利息」について、評価額の計算の手順を含めて詳しく解説していきます。

既経過利息とは  

既経過利息

「既経過利息」とは、被相続人の預貯金に対して相続開始時に発生していた利息額のことです。

相続財産の評価は、原則として「相続開始時の価値」で判断されます。

被相続人が銀行に預けた金額が1,000万円だったとしても、相続開始時には預けていた期間の利息が付いて1,050万円になっている可能性もあるでしょう。

この場合、相続財産としての評価額は1,050万円と計算されるのです。

このように「相続開始時点で付されている利息」を指して、「既経過利息」と呼びます。

注意点

特に満期を迎えていない定期預金などは注意が必要!

実際には利息を受け取っていなくても、「相続開始時点で解約した場合に受け取ることができる利息」が既経過利息として評価されます。

既経過利息を計算する必要がある預貯金

相続財産を調べるために亡くなった父親の銀行口座を確認してみたところ、かなりの数の普通預金口座を開設していました。

ほとんど使っていない口座も少なくないのですが、すべて既経過利息を計算しなければならないのでしょうか?

残高の少ない普通預金に関しては、既経過利息の計算はしなくてもかまいません。定期預金などを中心に確認していきましょう。

定期性のある預貯金

既経過利息を計算する必要があるのは、定期預金や定期郵便貯金、定額郵便貯金などの「定期性のある預貯金」です。

国税庁では、定期性のある預貯金以外、つまり普通預金や当座預金などについては、「相続開始時点での既経過利息の額が少額なものに限り相続開始日の預入残高で評価する」 と定めています。

定期性がない場合でも例外がある

普通預金や当座預金などの定期性がない預金が既経過利息計算の対象外とされているのは、「利率が低いため、既経過利息を含めなくても財産の評価額に大きな差が生じない」という前提によるものです。

確かに現在の都市銀行の普通預金金利は0.001%程度。高いといわれているネット銀行でも0.20%程度です。100万円を1年間預けていても2,000円の利息にしかなりません。

しかし、それが10億円であればどうでしょう?いくら低金利とはいえ、利息は200万円になります。

このように高額な普通預金がある場合には、「既経過利息の額が少額なもの」に該当しない可能性があります。

既経過利息の相続税評価の手順

実際に既経過利息を含めた預金額を計算するとしたら、どのような手順を踏めばよいのでしょう?

「預金残高に計上されていない期間」を確認し、適用利率を用いて日割計算します。

具体的な流れを見ていきましょう。

既経過利息を計算すべきか判断

まずは預金や金額などから、既経過利息を計算する必要がある預金か否かを確認しましょう。

通常であれば定期性のない預金、つまり普通預金や当座預金では既経過利息を算入する必要はありません。

定期預金など「定期性のある預貯金」であれば、少額であっても計算の対象です。

しかし前述した通り、普通預金であっても高額な預金などである場合には既経過利息を計算する必要性が生じます。

このような判断には専門的な知識が不可欠ですから、分からないときには税理士などに相談するのが良いでしょう。

相続開始日の金額を確定

既経過利息を計算するためには、まずは相続開始日の預金残高を確認する必要があります。

金融機関で残高証明書を発行してもらう方法もありますが、この時点では通帳記入などの簡易な方法でも構いません。

あくまでも相続開始時点での残高が分かれば良いのです。

利息を計算

預金に対する金利を確認し、いくらの利息が付されるかを計算します。

定期預金などの場合、商品内容によって金利が異なります。契約時の書類を確認し、適用される金利を調べましょう。

注意点

普通口座に高額な預金がある場合は注意が必要です。

定期預金やクレジットカードなど、関連商品の利用状況によって適用金利が変わる仕組みの銀行も少なくないため、口座を持つ金融機関に確認することをおすすめします。

最後に利息が付された日から相続開始日までの経過日数を調べ、日割の利息を計算しましょう。

預金額×適用金利×経過日数÷365日=利息相当額

所得税を既経過利息から控除

既経過利息は「利子所得」という収益にあたります。このため、所得税などの課税対象です。

利子所得には、一律で20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、地方税5%)の税率で課税されることとなっています。

このため既経過利息を計算する際にも、付される利息から源泉徴収税額を差し引くことができるのです。

利息相当額-税額(利息相当額×0.20315)=既経過利息額

既経過利息の具体的な計算例  

では、具体的な事例を挙げて経過利息を計算してみましょう。

被相続人は今年4月1日に年利1%の定期預金に1,000万円預け、9月30日に亡くなったとします。中途解約による金利変更はないものとして、年利1%で計算してみましょう。

預金額1,000万円×年利0.01×経過日数182÷365=49,863円

相続開始時点での既経過利息の金額は49,863円です。

この金額から所得税などの金額を差し引きます。

利息相当額49,863円-(利息相当額49,863円×0.20315)=39,734円

上記の計算から、相続が開始した9月30日時点での既経過利息の評価額は39,734円となります。

途中解約で金利が変更になる場合はどうなる?  

定期預金などの「定期性のある預金」は、原則として満期まで解約できないことが前提です。

このため満期を迎える前に解約した場合には、予定されていた金利とは異なる利率が適用される商品も少なくありません。

このように満期と中途解約で金利の異なる商品は、「死亡日に解約した」という想定で適用される利率をもとに、既経過利息を計算します。

既経過利息の計算書は金融機関で発行してくれる  

「計算」といっても、実際に自分で計算をする必要はありません。

銀行に依頼すれば、相続開始日時点の既経過利息計算書や既経過利息を記載した残高証明書を発行してもらうことができます。

ただし、これらの証明書の発行手続きには数千円程度の手数料がかかるケースが多いことも覚えておきましょう。

既経過利息の相続税評価まとめ  

既経過利息の計算自体はそれほど複雑ではないものの、普通預金が既経過利息の対象となるか否かの判断や、預金の商品特性によって異なる金利が適用されるケースなど、専門的な知識を必要とするポイントが少なくありません。

分からないことがあれば無理をせず、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

ABOUT ME
山崎友也
山崎友也
代表取締役
株式会社トライパートナーズ 代表取締役
2011年から税理士紹介サービスを展開。多くの皆様に税理士を紹介してきました。
相続は何度も起こるものではありません。だからこそ正しい知識がないと、トラブルになる可能性を秘めています。大切なことは、徹底的に寄り添える相続専門の税理士に依頼すること。「頼んでよかった」と心から喜んでいただくことが私の生きがいです。まずはお話を聞かせてください。
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